和歌山県新宮市。紀伊半島の南端に位置し、海・山・川に囲まれた素晴らしい自然環境のなかにあり、その周辺は吉野熊野国立公園に指定されています。
また熊野本宮大社や熊野那智大社をはじめ世界遺産がまちなかに静かに佇み、神話の時代へと続く熊野古道が通っています。
そんな世界遺産のまちに工場を構えている有限会社横田工作所様を、日頃からご協力いただいている、紀南酸素熔材店の杉本営業部長と訪問し、横田社長にお話を伺いました。
本日はお忙しい中、お時間をいただきありがとうございます。また、日頃より神戸製鋼の溶接材料、ならびに、溶接ロボットシステムに格別のご高配を賜り、厚くお礼申し上げます。さっそくですが、御社の概要についてお聞かせください。
当社は、明治43年(1910年)の創業で、本年が創業110年目です。
当社の創業は船舶の修理がスタートでした。現在は建築鉄骨業が主で、県内案件だけでなく、関西地方の案件も手掛けております。地域的には若者の流出も多く、人材が集まりにくいこともあり、最近では一次加工だけでなく、溶接工程についても、自動化を積極的に推進してきました。さらに、今後は女性が働きやすい環境を整えていくことも意識しており、事務所はもちろん、溶接ロボットオペレータの採用などでも、前向きに取り組んでいきたいと考えています。
神戸製鋼の溶接ロボットシステムを柱大組立2アーク1式、省スペース型鉄骨コア・仕口2式を保有いただいておりますが、導入の経緯をお伺いできますでしょうか。
県内だけでなく、他地域の仕事も広く手掛けていきたいと考え、当初は2021年の導入を計画していました。しかし、近隣のファブリケータの設備投資状況や対外的にアピールしていくタイミングを逆算し、2018年にREGARC™搭載鉄骨柱大組立2アーク溶接ロボットシステムの導入を前倒しで決断しました。
当時は、大きな設備投資のため、他地域からの仕事を受注できるのか非常に不安でした。
しかしながら、その不安はすぐに吹き飛びました。
溶接ロボットを導入した途端、同業他社から協力依頼が来るようになり、今までの仕事よりワンランク上の仕事まで行えるようになりました。加工量が従来比倍以上の大幅アップに繋がっただけでなく、もっとも良かったことは従業員のモチベーションを上げることができたことです。溶接工程の時間短縮により、従業員の仕事内容も劇的に改善されました。
現在では、省スペース型鉄骨コア・仕口兼用溶接システムも2台保有することとなり、溶接ロボットは大きな戦力となっています。
当社へのご要望などございましたら、お伺いできますでしょうか。
〈溶接システムについて〉
センシング時間の短縮を期待しています。センシング速度アップやセンシング点数の削減などで、さらに溶接全体に掛かる時間を短縮できれば、加工量を増やすことができるので、開発をお願いしたいと考えています。
これは要望ではないのですが、安心サポートに加入しており、サービス部門の定期巡回によるメンテナンスには非常に満足しております。その際に機械本体だけでなく、周辺機器含めてアドバイスをいただけることは、オペレータのレベル向上にも寄与しており、ありがたいです。
〈溶接材料について〉
ロボット用の溶接材料については、非常に満足しております。
半自動用については、現場の意見とコストによってメーカを選定しております。
新しい施工方法や新しい溶接材料などがあれば、ぜひ、紹介いただきたいです。
貴重なご意見ありがとうございます。作業負荷低減や生産性向上につながる新製品開発は、引き続き尽力してまいります。それでは最後に、御社の今後の取り組み、抱負について教えてください。
近隣の同業他社の方々に、当社の設備を共同利用できる仕組みを作り、地域一体となって、地域活性化に貢献していきたいと考えています。
同業他社の皆様のご協力を得ながら、営業活動エリアも広げて仕事も増やしていきたいと考えています。
常に変化が求められる部分がありますので、今までの鉄骨業界の良さも生かしつつ、先を考えて取り組んでいきたいと考えています。
地域に根差した企業として、本州最南端から挑戦していきます。
本日はご多忙の中、取材にご協力いただきましてありがとうございました。
取材の中で、「地域の女性たちにも働きやすい職場を」というお話を伺い、人材が集まらないことを悲観的に捉えず前向きに捉え、新たな発想でさらなる発展を求める姿勢を強く感じました。
また、新たな取り組みで地域を活性化していきたいとの心意気を感じました。
最後になりましたが、有限会社横田工作所の皆様の今後益々のご活躍をお祈り申し上げます。