TIG溶接は、あらゆる溶接法の中でもっとも高品質な溶着金属が得られる溶接法です。
・全姿勢溶接が可能
・パイプなどの裏波溶接が容易
・チタンやアルミニウムなど、あらゆる金属の溶接が可能
・美麗なビード外観
・スラグ、スパッタがほとんど発生しない
などの特長があり、配管、極薄板、金型の溶接や補修溶接に用いられます。
一方、溶接には高度な技量を要します。本稿ではTIG溶接におけるご法度をご紹介していきます。
(さらに詳しい情報は)
ぼうだより 技術がいどライブラリー
新 銘柄のおはなし-11 TIG 溶接用材料
https://www.boudayori-gijutsugaido.com/gaido/catalog/brand/#target/page_no=23
※本文中の溶接110番・119番および用語解説バックナンバーは、以下URLよりお入りください。
ぼうだより 技術がいどライブラリー http://www.boudayori-gijutsugaido.com/library/
TIG溶接は、片方の手で溶接トーチを、もう片方の手に溶加棒を持ちアークに送りながら溶接します。そのため、他の溶接法より熟練が必要です。
基本姿勢は下向溶接です。この姿勢でトーチの動かし方と溶加棒の挿入方法・送り方をしっかり練習してください。まず、ストリンガービードをしっかり練習しましょう。また、ビード継ぎの練習も行ってください。
*YouTube KOBELCO official 溶接講座【溶接TRAINING】編では、日用品を活用した、いつでも・どこでもできる、効率的なTIG溶接練習方法をご紹介しています。
https://www.kobelco.co.jp/welding/youtube/index.html
→「溶接講座」
通常の溶接法では、トーチの動かし方によって溶接の出来栄えが決まります。TIG溶接は、それに溶加棒の送りこみが加わります。この溶加棒の送りこみをスムーズにできるか否かが溶接の良し悪しを決めます。
自分にあった送りこみ法で、何度も練習を重ねることが大切です。
溶加棒の送りこみは、親指を中心に動かして行います。先端がぶれないように注意することが大切です。
*溶加棒の送り方の練習方法を、前項で紹介した【溶接TRAINING】「TIG溶接 溶加棒の送り方」にてご紹介しています。
トーチの握り方には、いろいろな種類があります。基本は右に示す3つで、どれを用いるかは好みですが、手がスムーズに動き、アークがぶれないことが重要です。
溶接姿勢によっても持ち方が異なります。下向姿勢では、一番上の持ち方が多いようです。
*【溶接TRAINING】「TIG溶接トーチ操作」でローリングの練習方法を紹介しています。
ビードの置き方の練習は、まず下向のストリンガービードから始めますが、ビード継ぎの練習もしっかり行う必要があります。
上手にビード継ぎができるようになれば、継ぎ目がどこにあるか分からないようになります。
直流電源には、プラス極とマイナス極があります。どちらにトーチをつなぐかにより、溶接がかなり変わります。
一般には、トーチをプラスにつなぐことが多いのですが、TIG溶接の場合はトーチをマイナスにつなぎます。トーチをマイナスにつなぐことをDCEN(Electrode Negative)と表記し、これによりアークの安定性と良好な溶込みが得られます。
注)高融点酸化被膜が生じるアルミニウムなどの溶接は、母材にクリーニング作用を行いながらタングステン電極の消耗を極力抑えるために、交流(AC)を用います。