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話題の溶接1964


~ 世代を超え、未来を拓く溶接ソリューション~ 話題の溶接1964 ぼうだよりの技術がいどアーカイブ

日本のものづくりを支える神戸製鋼の溶接技術。今回は「神鋼溶接棒だより 1964年5月号」に掲載された“完成を急ぐスポーツの殿堂”をご紹介いたします。

先進国入りを目前に階段を駆け上がる1964年の日本、その熱を感じてください。

*本稿は1964年に掲載された記事を再掲しています。内容は掲載時点の情報であり、表記も当時にならいます。
最新の情報とは異なる場合がございますことを、あらかじめご了承ください。


《話題の溶接》

完成を急ぐスポーツの殿堂

世紀の東京オリンピックまであますところわずかとなり、都心はいまオリンピック工事の花ざかり。競技場、体育館、武道館など各種の五輪関係工事が、槌音も高く、急ピッチで進められている。渋谷区神南町の旧ワシントンハイツ内に、国立屋内総合体育館と並んで建設されている「オリンピック記念体育会館」もその一環。この記念体育会館はオリンピック組織委員会、IOC、JOCなどの大会役員室を始め、事務・会議室、体育館兼講堂などが設けられ、オリンピックでの競技運営の統合本部となる建物となる。大会開催に先立って今夏7月中から準備事務のため使用を開始するため、文字通りの超突貫作業が行われている。

この記念体育会館は、財団法人日本体育協会の発注により、4,204m2の敷地に地下3階、地上5階、塔屋4階の建物(建築延面積は12,317m2)が建設される。公園緑地帯のため建築規準が厳しいため、地上につくるはずの体育館兼講堂を地下3階をぶち抜いてもぐらせた。そうなると地下の体育館が地上5階の建物を背負って建つような格好となり、相当の重量がかかってくる。

そこでこの地下の部分にはとくに、SM50-A(50キロハイテン鋼)を多く使用して、強い大きな柱としている。鉄骨総重量230トンのうち、SM50-Aが約100トン、残りがSS41鋼材という割合。なにしろ工期が非常に短いので、普通ではとてもできないような超特急工事が行われた。工場製作に着手したのは9月10日、普通の工事なら2か月半はたっぷりかかるところだが、工場製作を終わり発送したのは10月18日。実に正味5週間ほどでつくりあげたわけである。


工場製作は溶接が主体で、板継、柱と梁の突合せ継手、柱・梁のⅠ形すみ肉部に潜弧溶接(サブマージアーク溶接)が活躍、その他の部分に手溶接も相当行われた。板厚はSM材が12 ~ 32mm、SS材は9 ~ 25mmの範囲で、潜弧溶接用ワイヤはSM材同士およびSM材とSS材の組合わせ部にUS-36、SS材同士の溶接にはUS-43が使用された。(なおフラックスはいずれもG-80)。また、手溶接棒としては、SM材同士およびSM材とSS41材の溶接には低水素系棒のLB-52が活躍した。溶接士も厳選され、手溶接はJIS 2種2級以上の者、自動溶接も国鉄の自動溶接承認試験に合格した溶接士があたった。

幅3m、長さ20mのⅠビームを2本合わせてダブルにしたという柱は、1本13トンあまりもある超大型。したがって溶接が非常に重要な役割を果たしている。


*本建屋は2019年5月より新建屋への移転が始まり、完了後解体され代々木公園の一部として整備される予定です。


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