シールドガスに関する注意や溶接方向、ワイヤ径の選び方に触れています。
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ぼうだより 技術がいどライブラリー http://www.boudayori-gijutsugaido.com/library/
オリフィスはシールドガスの流れを均一にするとともに、ガスの流れを整流にすることで、シールド効果をより一層高めます。
オリフィスの装着を忘れたり、スパッタ付着により目が詰まっていると、乱流によるシールド効果の低下を招き、ブローホールなど気孔欠陥の原因となります。
シールドガスの種類によって、スパッタ発生量やビード外観が異なります。しかし、化学成分の歩留まりが変化することがもっとも重要な問題です。
右図はガスの種類と歩留まりの関係を示したものです。CO2の混合比率が多くなるとMnやSiの歩留まりが悪くなります。このことは、使用するガスの種類によって、溶着金属の化学成分が変化することを意味します。
溶接前に、適切なシールドガスをご確認ください。
ガスシールドアーク溶接には、一般的に「100%CO2ガス」と「80%Ar-20%CO2ガス」の2種類が使われます。
どちらのガスにも一長一短がありますが、作業性や溶接金属の性能は後者の方が優れています。とくにスパッタ発生量はかなり少なくなります。
ただし、ガスの単価が高くなることから、どちらを取るかは個々の判断となります。
なお、当社のSEワイヤ(銅めっきなしソリッドワイヤ)はワイヤ表面に特殊な処理を行うことでアークが安定し、スパッタ量が減少・小粒になります。一度お試しください。
右図上の図に示すように、トーチの進め方には前進法と後退法があり、それぞれ長所・短所があります。
水平すみ肉溶接など、ビード外観に重点を置く場合には前進法を用います。また、溶込みが必要な場合には後退法を用いるのが一般的です。
超音波探傷検査がある部材の溶接においては、とくに欠陥の出やすい1層目の溶接には後退法が推奨されます。
ここでいう能率とは「溶着速度」、つまり単位時間あたり何グラムの溶着金属ができるかのことですが、溶着速度はワイヤの太さではなく、電流密度に比例します。
すなわち、ワイヤ断面の単位面積あたりの電流の大きさで決まります。同じ電流の場合、太いワイヤより細いワイヤのほうが溶着速度は速いのです。
太い径のワイヤを使用する際は、使用電流をご確認ください。