ディープラーニング(深層学習)は人工知能技術のひとつです。人工知能の定義については専門家でも意見が分かれていますが、簡単に言えば「人によって作り出された知能」です。
ディープラーニングが注目を浴びたのは、画像に映っているものが何かをコンピュータが推測する精度を競うコンテストILSVRC(ImageNet Large Scale Visual Recognition Challenge)で2012年にトロント大学のヒントン教授のグループが前年度までの記録を10%も更新して圧勝したのがきっかけです。2017年にはディープラーニングを利用したGoogleのAlphaGoが人間のプロ囲碁棋士を破るなど話題になりました。
ディープラーニングの元となった技術は1959年に米国の心理学者フランク・ローゼンブラットが考案した単純パーセプトロンという二段階(二層)の計算を行うものでした(図1上)。これは人間の脳の仕組みを模したもので、データのルールやパターンを自動的に学習することができました。これを三層に拡張したニューラルネットワーク(図1中)は簡単な問題の解決には利用できたものの、それ以上、層を増やしても(図1下)上手く学習できない問題をもっていました。これを解決したのがディープラーニングです。学習のための計算方法の工夫と、コンピュータの計算能力の向上により、多層で深い構造でも学習ができるようになり、かつ、カメラの画像のような、より大規模なデータを扱えるようになりました。これにより産業応用も一気に進み、溶接の自動化にも利用できる可能性がでてきました(図2)。
2017年には一般社団法人日本ディープラーニング協会の資格試験も開始され、2020年までにディープラーニング技術者約3万人輩出を目標にされています。人のようにものを見る目をもった機械が普及する日も近いかもしれません。