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フラックスの欠けた被覆棒で溶接した経験はありませんか? 欠けた部分にアークが差し掛かると、アークの方向が変わってしまいます。また、その部分の溶接金属にブローホールやピットが発生したり、性能が劣化したりします。
フラックスはレンガのようにもろいものです。衝撃などを与えないように慎重にお取扱いください。特に低水素系被覆棒は注意が必要です。
母材の上に瞬間的にアークを飛ばしすぐに切ることを「アークストライク」と呼びます。
アークストライクを行うと、母材の上にのこる痕跡が問題となります。この痕跡部は瞬間的に高温となり、その後猛烈な速度で冷却されるため、硬さが上昇し割れの危険性が出てきます。
開先内のアークストライクは、あとで溶接されるため心配ありませんが、開先の外の痕跡はグラインダーなどで補修する必要があります。
引張強さが400MPaと590MPaの母材を溶接する際は、一般的に低い側の400MPaに合わせた溶接材料を使用することができます。しかし、590MPa側の熱影響部は硬化して割れやすくなります。
そのため、溶接金属の拡散性水素量が低い溶接材料を使う必要があります。また、予熱は引張強度の高い側(この場合は590MPa)に合わせた温度を選択してください。
・使用する被覆棒のタイプ | 低水素系被覆棒 |
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・溶接金属の引張強さ | 400MPaに合わせることも可能 |
・予熱温度 | 590MPaに合わせる |
・応力除去焼きなまし条件 | 400MPaに合わせる |