来る4月25日(水)~28日(土)の4日間、2018国際ウエルディングショーが東京ビッグサイトにて開催されます。神戸製鋼は「KOBELCO-Your Best Partner ~世代を超え、未来を拓く溶接ソリューション」をテーマに、顧客のベストパートナーとして課題解決につながる溶接ソリューションを提案します。特に、喫緊の課題である溶接技能者不足対策として、溶接自動化・高能率化・高品質化につながる技術・製品を実演、また業種別にパネル・映像にてご紹介いたします。
建築鉄骨・造船・建設機械向け新溶接ロボットシステムを出品します。
建築鉄骨向けには、梁溶接システムを多層すみ肉溶接に最適なフラックス入りワイヤ FAMILIARC™ MX-Z200MPとの組み合わせで実演します。
造船向けには大組立工程のフロア溶接を実演します。同システムを実現する3つの技術、設計用3DCADデータから自動的に教示データを作成するSMART TEACHING™、ブロック内に設置可能な小型ロボットARCMAN™ A30S、水平すみ肉での美麗なビードと高能率な立向上進溶接を両立させる専用ワイヤFAMILIARC™DW-100Rをご紹介します。
建設機械向けには、新大型ロボットARCMAN™A80のパフォーマンスを、1トーチでタンデム並みの高能率・低スパッタ溶接と1トーチゆえの良好なハンドリングを実現する大電流MAGプロセスにてご覧いただきます。
神戸製鋼グループに仲間入りした小型可搬型ロボット「石松」とREGARC™が合体した、REGARC™ プロセス搭載「石松」による建築鉄骨の仕口溶接を実演します。REGARC™ の低スパッタで高品質な溶接と、「石松」の良好なハンドリング性・全自動溶接機能で神鋼の鉄骨自動化ソリューションの拡大をご体感ください。合わせて、石松での溶接に最適な溶接ワイヤをご紹介しています。
また、ケーブルレスを実現した無線ペンダント、横向溶接の動作実演を合わせ展示いたします。石松の新しい世界をぜひご覧ください。
建築鉄骨・自動車・造船・建設機械・エネルギー各業種向けの、共通課題である自動化・高能率化・高品質化に対応した技術・製品を、ロングセラーから新製品まで幅広いラインナップにて紹介します。また、自動化・更なる高能率化への支援技術として当社の持つIoT, ICTとその将来像を紹介します。是非、皆様の困りごとを、当社説明員にぶつけていただきたいと思います。
このほか、溶接実演コーナーでは、建築鉄骨向け新製品の実演を行います。
SWSコーナー(神鋼溶接サービス)では、同社の溶接・接合の試験調査メニューを紹介します。単なる製品の提供に留まらない、“溶接総合メーカー 神戸製鋼グループ”ならではの溶接ソリューションをご覧ください。
当社のアーク溶接ロボットは、中厚板分野を中心に、国内外において数多く採用していただいております。これまでお客様の高速・高品質な溶接、安定稼動、省スペースなどの要望を、システム・ロボット機能・溶接プロセス・溶接材料で実現してまいりました。
2018JIWSで実演を行う建築鉄骨、造船、建設機械向け溶接ロボットシステム及びプロセスをご紹介します。
一般的に国内の鉄骨需要量のうち約4割が柱部材と言われており、この生産性を向上するロボット溶接は広く普及しました。一方で、残りの約6割を占める梁溶接は、スチフナの回し溶接の自動化が困難であるなど、柱と比較してロボット化が進んでいません。
今回は、自動化による溶接品質の安定化と、将来の技能者不足に対応するため、梁溶接に特化し、スチフナの回し溶接も可能な、鉄骨天吊梁溶接ロボットシステムをご紹介します。
鉄骨天吊梁溶接ロボットシステムは、ロボットを天吊り姿勢で搭載する移動装置と、溶接箇所を最適な溶接姿勢に位置決めするポジショナとを組み合わせた構成としています。(図1)
梁ワークの主要な溶接線(表1①~⑥ )に適用可能で、スチフナでは、フランジ端回し溶接、及びスカラップ回し溶接にも対応しています。(表1②④、図2 写真)
コアや柱と同様、パソコンのデータ入力画面(図3)から梁の形状、寸法を入力するだけで、教示データが自動生成されるため、実機ティーチングすることなく、容易にロボット溶接が行えます。
また、梁溶接では低スパッタ性を重視し、多層すみ肉溶接に最適なフラックス入りワイヤ(FCW)である、FAMILIARC™ MX-Z200MP用の溶接条件を搭載しております。(図4)
実演では、鉄骨天吊梁溶接ロボットシステムによる、FAMILIARC™ MX-Z200MPを使用した、スチフナの回し溶接をご覧いただきます。
造船分野では他の分野と同様に溶接工の不足に加え、多能工化、省力化等の効率向上が求められています。しかし大組立工程は、
大型船舶はブロック建造法といわれる方法で建造されています(図5)。ブロックの溶接を行うには、ロボットが小さなスペースに入り、作業する必要があります。そこで、狭隘部分への進入および溶接作業に最適な小型ロボットARCMAN™ A30Sおよびロボットキャリーを新たに開発しました(図6)。
ARCMAN™ A30Sは、ロボットキャリーに搭載され、クレーンから吊り下げられます。溶接する際は、ロボットキャリーをブロック内に位置決めし、ロボット溶接を開始します。
CAD連係自動教示ソフトは、ロボット溶接をするための教示データ(教示プログラムと溶接条件)を、ブロックの3Dモデルから作成するソフトウェアです。
3Dモデル形状から溶接線を抽出し、自動認識した継手情報と位置データから教示データを自動的に作成します(図7)。このソフトにより、教示作業時間を削減でき、1ブロック約400本の継手の教示データを約3分で作成することができます。
ロボット大組立工程では立向上進溶接が溶接時間の約7割を占め、その能率向上が課題です。また従来技術では対応困難なギャップ(2mm以上)が自動化を阻害する要因となっていました。そこで、立向上進溶接の溶接時間を半減させ、さらに耐ギャップ性を向上したロボット専用溶接ワイヤFAMILIARC™ DW-100Rを開発しました。本ワイヤは水平すみ肉でも良好なビード形状が得られる特長を有しています。
実演では、当社施工技術とFAMILIARC™ DW-100Rを組み合わせたギャップ5mmの立向上進溶接をご覧いただきます。
今後、造船ブロックの各溶接ステージに対して、板継装置から高速すみ肉溶接法TRIFARC™法、小組立溶接ロボット、大組立ロボットをラインナップし、溶接材料と溶接プロセスの総合力で、自動化溶接ソリューションの更なる開発に取り組んでいきます。
建設機械の溶接対象物(ワーク)は大きく、ロボット単独の動作領域では溶接箇所に届かないため、ロボットを搭載する移動装置と、最適な溶接姿勢に位置決めするポジショナを組み合わせてシステムを構築しています。
また、中板厚溶接向けのロボットソフト機能や周辺アプリケーションを提供しています。
溶接システムに搭載するロボットは、それぞれのワークに適したものを選定しています。今回、大型ロボットARCMAN™ XLmkⅡの後継機であるARCMAN™ A80を開発しました(図8)。
・従来機以上の広い動作範囲と長いリーチ
・ロボット後方必要スペースの狭隘化
ワークの加工精度に依存しない安定した溶接を実現するため、ワイヤタッチによりギャップ量を測定し、溶接条件を自動調整する機能を提供しています。
今回、従来のワイヤタッチによるセンシング機能に加え、レーザセンサによるセンシング機能を開発しました(図9)。レ型/ V型/ I型開先の他、従来のワイヤタッチによるセンシングでは対応が困難であったフレア開先やT継手のギャップにも対応することで、幅広いワークに対してギャップセンシング機能を適用できるようになります。
また、ワイヤタッチセンシングに比べて測定動作が少ないため、センシング時間の短縮に繋がります。
生産現場の見える化に向け、生産監視カメラシステムを開発中です(図10)。本システムでは常にトーチ先端を捉えるようカメラを制御し、生産中の様子を表示、録画することが可能です。録画した映像をAP-SUPPORT™(安定生産支援システム)と組み合わせて溶接不良やエラー発生の原因究明にご活用いただけます。
実演では、これらの新製品と専用フラックス入りワイヤFAMILIARC™ MX-A100Dを用いた大電流MAGプロセスを組み合わせ、ギャップ変動がある突合せ溶接をご覧いただきます。大電流溶接とフラックス入りワイヤの組み合わせによる、高能率、低スパッタ溶接を実感ください。
従来から当社が提案してきている工場溶接におけるARCMAN™ 溶接ロボットでの自動化に加え、石松と専用ワイヤFAMILIARC™ DW-55STを組合せた現地溶接での自動化ソリューションの一例を紹介いたします。また、亜鉛めっき鋼板用「1Zシリーズ」やREGARC™ に最適な「(N)シリーズ」などの製品ラインナップに追加して、溶接材料で高品質化を提案する新製品も紹介いたします。
半自動溶接における使いやすさ、快適さを追求した新製品を紹介いたします。ソリッドワイヤでは、従来ワイヤから送給性を改良したFAMILIARC™ MG-56を紹介します。ワイヤ送給性が従来ソリッドワイヤと比べ向上し、トーチ振動が少なく、長時間溶接での疲労感が軽減します。また、アーク集中性・安定性に優れ、スパッタ発生量が減少します。フラックス入りワイヤとしては、仕口溶接で必要な溶込みをソリッドワイヤ並みに維持し、フラックス入りワイヤの特長である高溶着・高能率、ソフトなアークで少ないスパッタを実現したFAMILIARC™ MX-50K/MX-55Kを紹介いたします(図11)。
従来品と比べ、アークがソフトで安定性に優れ、スラグはく離性に優れることが特長の新製品 FAMILIARC™ LB-50FTを紹介いたします。
アルミラミネート脱気包装もラインナップしており、被覆棒の耐吸湿性を改良し、かつ外気から遮断することで、これまで開封後に必要としていた乾燥工程の省略をご提案します(図12)。
「鉄骨にもFCW」をキーワードに、従来の多層すみ肉溶接に最適なFAMILIARC™ MX-Z200MP、1パスで大脚長すみ肉が得られるFAMILIARC™ DW-50BFに追加して、新たにFAMILIARC™ MX-Z50Fを開発しました。黒皮鋼板に対して従来のスラグ系フラックス入りワイヤよりもビードなじみが良好で、ビード止端揃いに優れ、滑らかな形状が得られます。また、ビード止端部のスラグはく離性に優れ、美麗なビード外観を得ることができます(図13)。
ロンジ溶接、板継、小組立・大組立、外業などの造船工程別に当社が提案するプロセス、装置、溶接材料の自動化ソリューションを紹介いたします。
溶接高速化が特長の3電極高速すみ肉溶接施工法TRIFARC™法に加え、新たにハイブリッドタンデムマグ法(HT-MAG法)を紹介します。先行極に専用ソリッドワイヤFAMILIARC™ MG-50HMを用い、埋もれアーク溶接による深溶込みを確保、後行極に専用フラックス入りワイヤFAMILIARC™ MX-50HMを用い、ビード形状と脚長を確保します。埋もれアーク溶接により、プライマ鋼板での気孔欠陥の大幅低減が最大の特長となり、更にCO2タンデム溶接にもかかわらず、低スパッタ化が実現できます(図14)。
板継工程に用いられている当社FCB™/RF™での溶接品質の更なる向上、手直し時間の低減による効率化を実現させる「終端割れ防止技術」について紹介いたします。変形シミュレーションを駆使し、終端割れに影響する諸因子を抽出、引張の塑性ひずみを低減させ、終端割れを防止する施工法を確立しました。また、実機への適用開発状況について実際の溶接条件と共に紹介いたします(図15)。
アーク溶接での車体軽量化、マルチマテリアル化(異材接合)や塗装性改善などのニーズに対し、当社が提案する溶接材料、プロセスを紹介いたします。また、ワイヤ送給制御方式に最適な新開発ソリッドワイヤを紹介いたします。
ワイヤ送給制御法はワイヤ送給の正送・逆送の制御によりスパッタを極めて少なくする溶接法ではありますが、正送・逆送の繰り返しにより溶接チップへの負荷が過大となり、連続溶接時のチップ摩耗が課題でした。当社はワイヤ表面処理の最適化により、耐チップ摩耗性の向上、更には正送・逆送のワイヤ送給性、電流波形の追随性に優れたFAMILIARC™ MG-1T(F)を開発しました(図16)。さらに、同表面処理を適用した(F)シリーズの新製品ラインナップとして、スラグを低減したFAMILIARC™ MG-1S(F)、亜鉛めっき鋼板の耐気孔性に優れたFAMILIARC™ MG-1Z(F)を紹介いたします。
自動車部材はアーク溶接後の電着塗装にて、溶接スラグ上に塗装が載りにくいことが部材耐食性の面で課題となっています。当社は、溶融池の流動性を向上させ、スラグを溶接終端部に凝集し、溶接ビード上のスラグを低減させたFAMILIARC™ MIX-50FSを紹介いたします。また、従来不可能であった純Arシールドガスでの溶接をフラックス入りワイヤで解決し、スラグを極限まで低減したFAMILIARC™ MM-1Sを紹介いたします。
さらに、マツダ株式会社と共同開発した亜鉛めっき鋼板での耐気孔性に優れ、溶接スラグの低減も両立した“高耐食性溶接プロセス” を紹介いたします(図17)。
車体の軽量化のため、鋼板の高張力化・薄板化が進む中で、当社では一般炭素鋼用溶接材料では対応困難な高強度鋼板においても高強度な継手が得られるTRUSTARC™ MG-S120T、さらに1,180MPa級以上の鋼板にも対応可能なTRUSTARC™ MG-S150Tを紹介いたします。また、これら溶接材料を用いたアークスポット溶接により、従来の抵抗スポット溶接よりも高強度継手が得られるソリューション提案も紹介いたします。
当社の溶接システム、溶接材料の紹介をいたします(図18)。更には現在取り組んでいますAP-SUPPORT™、生産監視カメラ、生産モニタをIoTで繋げる見える化技術、更なる自動化・無人化を提案すべく取り組む、AI技術を活用した溶接中の異常検知、教示データを自動生成するOFF-LINE TEACHING SYSTEMを参考出展いたします。
図18 建設機械向け溶接ロボットシステム
素材・溶接材料の技術進展を狙った当社製品ラインナップを紹介いたします。石炭焚き火力発電ボイラ、圧力容器、LNGタンク、海洋構造物などの構造物ごとに、使用環境で求められる特性を満足する高品質な溶接材料を紹介いたします。
新製品としては、P91・P92用AWS規格合致材、1.25Cr-0.5Mo・2.25Cr-1.0Mo鋼用フラックス入りワイヤ、SR可能な高張力鋼用フラックス入りワイヤを出展いたします。
建築鉄骨コーナーでご紹介した新製品の実演を行います。ソフトアークの低水素系被覆アーク溶接棒FAMILIARC™ LB-50FT、送給性をさらに改良し心地よいアーク感でスパッタを低減した新 FAMILIARC™ MG-56、黒皮鋼板のすみ肉溶接でビードのなじみが良く止端部のビード形状が美麗なFAMILIARC™ MX-Z50Fなどをご覧いただけるよう準備しております。
神溶会「Beyond Generationsキャンペーン」連動クイズ企画「新商品の銘柄を答えて復刻版包装ポッキーを当てよう!」を行います。(対象商品は本号の神溶会コーナーをご参照ください。)参加いただいた方にはポッキー他賞品を進呈いたしますので、奮ってご参加ください。
神鋼溶接サービスは、神戸製鋼所が培ったノウハウをベースに、溶接・接合に関わる試験・調査・研究・溶接研修などを行っています。同社の接合研究、材料試験、成分分析など、お客様の課題解決につながるメニューの紹介をしております。今回はデジタルマイクロスコープを用いた観察、解析を実演いたします。鮮明な拡大観察と多数視野による画像解析を可能とし、連続撮影の自動化により納期短縮にお応えします。
神戸製鋼は顧客のベストパートナーとして、課題解決につながる製品・サービスを提案いたします。ぜひ神戸製鋼ブースを訪問いただき、当社製品・サービスへの忌憚のないご意見と、溶接に関する課題・お悩み事をご相談ください。
皆様のご来場をお待ちしております。