特集

神戸製鋼所 溶接事業部門の海外展開


はじめに

本誌の読者の皆様の中には海外で事業をしている、また海外進出を計画している方も多いと思います。本特集では神戸製鋼所 溶接事業部門の海外展開と共に、私たちが海外でどのようなサービスができるかをご紹介したいと思います。

海外進出

神戸製鋼の海外進出の歴史は東南アジア、タイがスタートです。長年輸出販売により実績を積み重ね、東南アジアが高度成長へと離陸する直前の1968年にタイ神戸ウェルディング社(TKW社)を設立しました。同社は被覆アーク溶接棒の製造工場であり、神戸製鋼全社でも初の海外生産工場です。その後、東南アジアに5拠点(内1拠点は技術提携先)、中国2拠点、韓国・欧州に其々1拠点、計9つの生産・販売拠点を設立しました。販売拠点では、北米、中国、インド、韓国の現地法人のほか、インドネシア、ベトナム、アラブ首長国連邦に駐在員事務所を置いています。

高品質かつ安定した製品を供給するとともに、各地域に日本人スタッフ、技術サービス要員を配置し、技術相談・溶接指導など現地で仕事をするユーザーさんの困りごと・課題を解決してきました。

それでは、各エリアでの活動状況をご紹介いたします。

グローバルネットワーク

■ 東南アジア

神戸製鋼の海外進出の原点であり、当社グループがNo.1の地位を保持しています。タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア(技術提携先)に生産拠点を持ち、東南アジアから周辺地域まで幅広いエリアに製品・サービスを提供しています。

タイでは、被覆アーク溶接棒を生産するThai-Kobe Welding社、自動車・建産機向けソリッドワイヤを生産するKobe Mig Wire Thailand社が操業しています。TKW社はタイ最大の溶接材料メーカーであり、現地で被覆アーク溶接棒の代名詞ともなっているFAMILIARC™ RB-26やFAMILIARC™ LB-52,FAMILIARC™ B-14のほか、ステンレス鋼用PREMIARC™ NC-38Lなどを生産、タイ国内の他周辺諸国へも供給しています。KMWT社は自動車など日系企業の進出が進む1988年にソリッドワイヤの生産・販売会社として設立されました。自動二輪、四輪向けFAMILIARC™ MG-51Tや建産機向けFAMILIARC™ MG-50を主に生産しており、タイ国内のみならず、近隣諸国にも供給しています。日本人技術者が常駐し、ナショナルスタッフと共に技術サービス、溶接指導、勉強会などを展開しています。

また、ベトナムには駐在員事務所を置き、日本人・ローカルスタッフがKOBELCOブランドの拡大・浸透に向け活動しております。

タイにも日本同様「神溶会」があり、名称もそのまま「Thai-Shinyokai(タイ神溶会)」です。タイ全土で約40社が加盟し、20年以上の歴史を持ちます。TKWと共に顧客開拓活動を行う一方、会員各社が集まり懇親を深め共に学ぶところは日本の神溶会と変わるところがありません。

KWAP 『KOBELCO Technical Semminar』
@サウジアラビア

Kobelco Welding Asia Pacific社(KWAP)は1979年にシンガポールに設立された、被覆アーク溶接棒の生産・販売会社です。同国では唯一の現地生産メーカーです。

シンガポールはアジアと欧州・中東・インドとの中間地点にある交通の要所であり、船舶の新造のみならず修繕・改装や海洋構造物の建造が盛んです。日系造船の進出と各種インフラ投資が進む中、KWAPは設立されました。FAMILIARC™ LB-52,FAMILIARC™ LB-52-18,FAMILIARC™ LB-52Uなど低水素系被覆アーク溶接棒を主に生産しているほか、各種特殊材料の在庫販売をしております。シンガポールや周辺国への販売・技術サービスの他、東南アジアから西アジア地域の統括の役割も担っています。Kobe Welding of Malaysia 社はFAMILIARC™ RB-26を生産しマレーシア国内で販売しております。

インドネシアでは神戸製鋼の技術提携先である PT INTAN PERTIWI INDUSTRI(INTIWI)社がFAMILIARC™ RB-26や低水素棒、ステンレスや肉盛用棒など幅広い銘柄の生産・販売をしています。1977年に生産を開始し、およそ40年に渡り同国産業の発展に貢献しています。

■ 東アジア

韓国が造船大国への道を歩み始めた1995年に、KobeWelding of Korea社(KWK)が設立されました。造船・海洋構造物向けフラックス入りワイヤを生産しており、韓国造船メーカーのニーズ・使い方にマッチした製品を供給しています。販売会社Kobelco Welding Marketing of Korea社(KWMK)がKWK製品と特殊輸入品の販売を手掛け、KWKの日本人エンジニアと共に顧客サービスに努めております。

KWSH 北京エッセン(2016年)ブース外観

中国では2010年に設立されましたKobe Weldin g of Shanghai社(KWSH)が販売、技術サービスの窓口となり、溶接材料の販売・技術サービスに加え、溶接システム本体やパーツの販売、メンテナンスサービスを行っております。溶接システムでは、建設機械や橋梁溶接システム、造船の片面板継溶接装置で多数の実績があります。

中国現地では2002年に設立されたKobe Welding of Tangshan社(KWT)が自動車・建産機向けソリッドワイヤを、2008年に設立されたKobe Welding of Qingdao社(KWQ)が造船・海洋構造物向けフラックス入りワイヤをそれぞれ生産しています。KWSH社は中国での販売窓口として、KWT、KWQで生産された製品の他、日本から輸入した特殊品の販売と技術サービスをしております。

中国でも、代理店組織「中国神鋼神溶会」が2015年に発足、KWSHと共に中国のユーザーニーズに対応した提案活動を進めています。

■ 欧州

KWE エッセン(2013年)ブース外観

欧州全土へのアクセスが容易なオランダ ヘールレンにKobelco Welding of Europe社(KWE)を1994年に設立、ステンレス鋼用及び炭素鋼用フラックス入りワイヤを生産・販売しています。日本人及び現地スタッフが欧州全域のエネルギー・造船ユーザへの営業・技術サービスを担っています。

■ 米国

石油・エネルギー産業の街、北米南部テキサス州ヒューストンに販売会社 Kobelco Welding of America社(KWAI)が設立されたのは1990年のことです。エネルギー産業向けから造船、自動車など幅広い分野にステンレス鋼用や炭素鋼用フラックス入りワイヤ、ソリッドワイヤを販売しています。現在では北米数か所に販売・物流拠点を持つほか、カナダや中南米へも供給しております。日本人エンジニアが常駐し、ナショナルスタッフと共に技術サービスを行うとともに、近時溶接システムのマーケティング活動をスタートさせました。

■ インド・中近東

KWI インドエッセン(2014年)ブース外観

2011年にインドの首都デリー近郊に販売会社Kobelco Welding India社(KWI)を設立、インド国内及び周辺諸国へ販売しています。経済成長が期待されているインドではインフラ整備が続いており、KWI社もエネルギー産業向け特殊品を中心に在庫販売も行っております。

中近東では、KWAPの駐在員事務所をアラブ首長国ドバイに置き、同地域でのマーケティング活動を行っています。

さいごに

ここまで簡単に海外での取組みをご紹介してきました。皆様が海外での工事で溶接材料が必要となった、あるいは海外現地法人が溶接トラブルで困っている、といった際には神戸製鋼に声を掛けて頂きたいと思います。

海外拠点の設立年度

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