アンダカットは「電流が高すぎる」「アーク長が長い」「アークがぶれる」などが原因で発生します。アンダカットは、ブローホールのような球状欠陥ではなく、先が鋭い欠陥のため先端部には大きな応力の集中が起こります。これが原因となって構造物の破壊につながる可能性があります。
溶接欠陥のうち、最もよく出てくる用語は「ピット」と「ブローホール」です。どちらも「気孔」「気孔欠陥」という単語でくくられますが、ピットはビード表面に顔を出しているもの、ブローホールはビード中に閉じ込められたものを指します。
両方とも溶けた金属に取り込まれたガスが逃げ遅れて固まったものです。対策としては、ガスの発生源を絶つことが肝要です。
開先面に付着している汚れには、油、錆、ホコリ、土、水分などがあります(このほかに切断ノロなど)。これらは、すべてピットやブローホールの原因となります。これらの汚れは、ワイヤブラシやガスバーナー、グラインダーなどで除去した後に溶接します。特に仮付後に付着したルートフェイスの汚れは取れにくいので注意が必要です。
普通、板をT字形に組む継手は、すみ肉溶接が行われます。T継手は、突合せ継手とともに、もっとも多く使われる継手です(造船などT継手の比率が70%以上です)。
すみ肉溶接では、溶接する金属量が脚長によって指示されています。溶接者は、この指示された脚長をねらって溶接します。しかし、すみ肉継手の強度はビードの厚さ(のど厚)によって決まります。そのため、のど厚と脚長の両方を満足させなければなりません。なお、のど厚は脚長の約0.7倍です。
母材表面から盛り上がった部分を「余盛」といいます。
余盛が母材表面より低くなると、継手の強度不足という問題が生じます。しかし、高すぎる余盛も決して好ましいことではありません。余盛が高すぎる場合、母材と溶接金属との境界(止端部)に応力集中が起こり、疲労強度が低下する傾向がみられます。余盛は母材表面より高く、かつできるだけ低くなだらか、が原則です。
溶接冶具は、
・溶接作業を容易にする
・製品の仕上げ精度を上げる
・能率を上げる
・溶接のひずみを抑制する
などの目的で使用します。
溶接は下向姿勢が最も能率的かつ容易であるため、溶接冶具を活用しできるだけ下向で溶接するのが理想です。
代表的なものを以下に示しますが、各職場で工夫をこらした冶具を使われているようです。