金属製品の加工は、{加圧成形、溶接、切削加工等}で材料を目的の形状まで造形する手法が一般的ですが、必要な形状を得るために二次元の断面を連続的に積層する方法が注目されています。この手法は積層造形と呼ばれており、印刷と同様に複雑な形状の立体が成形できるため、この装置は三次元プリンターと呼ばれています。
積層造形の歴史は、1980年代後半にアメリカで、光造形による三次元プリンターが商品化されたことに発端しています。当時、1台あたり数百万円するため、汎用性はなかったのですが、2008年頃から、基本特許の失効に伴い、数十万円のものが発売されるようになり、現在では、家庭等でも導入されるようになっています。
積層造形技術には数種類の積層法が実用化されています。検出またはインプットした三次元データを1層ずつ順に出力し、目的の形状を得ることができる各種積層造形法の適用素材、メカニズム、長短所を【表】に示します。
これらの技術とは別に、金属の積層造形にアーク溶接を適用する技術が産学共同で開発されています。アーク溶接で溶接ワイヤを溶融させて凝固造形させる手法は、粉末焼結法と比べ造形精度は劣りますが、低コストかつ高能率な積層造形が可能となります。なお、この方法で目的とする形状を精度高く得るためには、切削加工等の仕上加工が必要になりますが、新たな金属加工法として様々な製造業分野で期待されています。
参考)
1) 溶接学会誌 2014年Vol.83 No.4 P16-35
2) デジタルコンテンツ会3Dプリンター特集
3) 日刊工業新聞 金属3Dプリンター開発-アーク溶接応用、高速・低コスト化