営業部ニュース

溶接ご法度集-23 各種溶接材料編(4)
サブマージアーク溶接 その2


前回につづき、サブマージアーク溶接でのご法度です。
溶接用フラックスの選定、取り扱いの注意点などが中心となります。

ご法度(104)
母材を傾け過ぎて溶接するのはご法度!

とくに現地溶接では、母材を傾けて溶接することがあります。その際、母材傾斜は溶接が上りになるか下りになるかで、結果が全く異なります。

下りではビードが凹気味になり、上りでは凸気味になります。いずれにせよ、母材傾斜は必要最小限にする必要があります。


ご法度(105)
フラックスの使い分けをしないのはご法度!

サブマージアーク溶接用フラックスには、大きく分けて「溶融フラックス」と「ボンドフラックス」の2種類があります。その使い分けが重要です。

溶融フラックスが原料をいったん溶かして粉砕するのに対し、ボンドフラックスは原料を焼き固めて造粒し製造します。溶融フラックスは小・中電流域で、ボンドフラックスは中・高電流域で使用されます。それぞれの特徴を活かした使い方が必要です。

また、溶融フラックスはほとんど吸湿しないのに対し、ボンドフラックスは吸湿するため注意が必要です。ただし、溶融フラックスも表面に水分が着くこともあるため、使用前の乾燥が必要です。(ご法度107をご覧ください)

神戸製鋼所では、溶融フラックスには、G-××もしくはMF-××、ボンドフラックスはPF-××という名前がついています。


*神戸製鋼のフラックスの銘柄についてはこちらをご覧ください。
*サブマージアーク溶接用フラックスの詳しい解説はこちらから。


ご法度(106)
回収したフラックスだけを繰り返し使うのはご法度!

ビード周辺の残ったフラックスは、溶接終了後に回収して再び使用します。

ただし、回収したフラックスはスケールやほこりなどを巻き込み、粒度分布も変化しています。この回収フラックスだけを使用すると、ビード外観、ビード形状が変わることがあります。

回収フラックスは、新しいフラックスを補充しながら使用しましょう。

ご法度(107)
フラックスを乾燥せずに使用するのはご法度!

吸湿したフラックスは、乾燥させてから使用しなければなりません。

乾燥させる基準は、溶融フラックスは150℃~350℃で1時間、ボンドフラックスは200 ~ 300℃で1時間です。

吸湿したままのフラックスを使用すると、ビード外観の悪化、気孔の発生、溶接金属中の水素量の増加などが起こります。

*神戸製鋼のサブマージアーク用フラックスの乾燥温度および乾燥時間は、神鋼溶接総合カタログ2020 P546にてご確認ください。
*FCB/RFで使用する裏当てフラックスFAMILIARC PF-I50R, RF-1は乾燥できません。ご注意ください。


※溶接110番・119番および用語解説バックナンバーは、以下URLよりお入りください。
ぼうだより 技術がいどライブラリー https://www.boudayori-gijutsugaido.com/library/

各種溶接材料編は今回で完結となります。
次回からは、各種材料(母材)の溶接でのご法度を紹介いたします。

コベルコ溶接テクノ(株) CS 推進部・営業部
https://www.kobelco-kwts.co.jp/
原田 和幸

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