サブマージアーク溶接は、あらかじめ溶接線にフラックスを散布し、その中にソリッドワイヤを供給し母材とワイヤ間にアークを発生させる溶接法です。(ご法度100の図1をご覧ください。)太径ワイヤを用いての大電流溶接や、複数のワイヤを一度に溶接する多電極溶接により、高能率な溶接が可能です。一方、フラックスを散布するため、溶接姿勢は下向や横向に限定され、また複雑な溶接線には適用できないため直線で長い溶接線に適用されています。サブマージアーク溶接は、主に建築、造船、化工機、造管などで適用されています。
サブマージアーク溶接は「潜弧溶接」とも呼ばれ、溶接中アークがフラックスの中に潜り直接見えないことから、アークを見ながら溶接の状態を確認できません。そのため開先精度や施工条件に注意が必要です。
サブマージアーク溶接は、粒状のフラックスをアークにかぶせる格好になるため、溶接の状態が見えません。したがって、予備試験で開先と溶接条件を確認しておく必要があります。また、開先精度も極めて重要です。
とくに溶込みについては、マクロ試験などで確かめておくことが重要です。
*コベルコ溶接テクノ(株)では、試験体加工・機械試験・マクロ試験を受託しています。
コベルコ溶接テクノホームページ、お問い合わせはこちらから⇒
https://www.kobelco-kwts.co.jp/
フラックスの種類によって多少異なりますが、フラックスの散布量が過剰になると、ビード外観が荒れたり、アンダカットが発生したりします。
フラックスは、被覆アーク棒の時と同様に脱酸材としての役割もあるため、不足するのもよくありません。しかし、実際には散布しすぎのケースが見受けられます。適正なフラックス量は、フラックスの粒子の間からアークがかすかに見える程度と言われています。
溶融フラックスには数種類の粒度(メッシュサイズ)・粒径があり、使用する電流により使い分けられています。
大電流に対して粒度の粗い(粒径の大きい)フラックスを使用すると、ビード外観が悪くなります。逆に、細かい粒度(粒径の小さい)のフラックスを低電流で使用するとガス抜けが悪くなり、ビードに凹みができやすくなります。
小電流には粗いフラックスを、大電流には細かいフラックスを使うのが原則です。同様にワイヤについても、溶接電流、電圧、速度が同じでもワイヤ径が変わるとビード形状、溶込み深さは変わるので、使用電流域で適当なワイヤ径を選ぶ必要があります。
標準的なフラックス粒度・粒径、ワイヤ径と使用電流範囲は以下の示すとおりです。
神戸製鋼のサブマージアーク溶接材料は神鋼溶接総合カタログよりご確認ください。
https://www.kobelco.co.jp/welding/catalog/
サブマージアーク溶接は、比較的太径のワイヤを用い、かつ大電流で溶接する方法です。一般には高能率(高溶着)溶接法といわれています。
そのため、用途としては造船、橋梁や圧力容器などの厚板の溶接が多いのですが、比較的薄い板の高速溶接にも適用されています。
コンテナ、家電、ボンベなどで、溶接速度は1.0~2.0m/分で溶接されています。一般の溶接は300mm/分程度なので、いかに高速溶接かがわかりますね。
※溶接110番・119番および用語解説バックナンバーは、以下URLよりお入りください。
ぼうだより 技術がいどライブラリー https://www.boudayori-gijutsugaido.com/library/