日本国内の労働災害における休業4日以上の死傷者数は増加の傾向にあり、2018年度は127,329人もの人々が労働災害で死傷しています。
このような労働災害を未然に防止するため、1990年代から労働安全衛生マネジメントシステム規格の国際標準化に向けた議論がなされてきましたが、様々な紆余曲折を経て、ようやく2018年3月に国際標準化機構(ISO)から労働安全衛生マネジメントシステムの国際規格“ISO 45001” が制定されました。
これを踏まえて、日本工業規格として、JIS Q 45001とこれに日本独自の活動(KY活動や5S活動など)を盛り込んだJIS Q 45100、審査認証に関するJIS Q 17021-10およびJIS Q 17021-100が2018年9月に制定されています。
労働安全衛生マネジメントシステムは、労働安全衛生技術を標準化して制度とすることで、体系的かつ継続的に実施できる安全衛生管理活動の仕組みです。その展開は品質(ISO 9001)や環境(ISO 14001)など他のマネジメントシステムと同様におよそ下図のような、いわゆるPDCAサイクルで組み立てられています。また、ISOマネジメントシステム規格の共通テキスト(ISO/IEC Directives Part 1, Annex SL)が採用されたことにより、他のISOマネジメントシステムと規格の構成や用語の定義などを共通化しているため、既存のマネジメントシステムに取り組んでいる組織は、労働安全衛生を含む統合マネジメントシステムとして運用することが可能となります。
KY活動
日々の作業の手順の中に隠れている「不安全状態」の発生や「不安全行動」を行ってしまう心理状態を事前に明らかにし、作業者自身が対策を考えて実行することを目的として行う自主的な安全活動のことを危険予知活動、または、その頭文字を取ってKY活動といいます。
5S活動
主に製造業を中心としたさまざまな会社、医療・看護などの現場で行われる改善活動、およびその考え方や、スローガン。5Sは整理・整頓・清掃・清潔・躾(しつけ)の5つの頭文字。