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神戸製鋼の低水素系溶接棒には多くの銘柄がありますが、最も歴史の古いものはLB-26です。昭和26年に誕生したLB-26は開発に大変な苦労がありました。LB-26は低水素系溶接棒のベストセラーの一つとして多くのファンに愛されています。現在、神戸製鋼の低水素系溶接棒として最も使用されているLB-52は、昭和29年にできたLB-55を前身として誕生しました。現在では日本のみならず、タイ、インドネシア、シンガポールの神戸製鋼海外工場でも生産されています。東南アジア、中東を中心に、造船、海洋構造物、プラント工事、建築などの重要構造物に広く使用されています。52と言う数字はおおよその溶着金属の強度レベルを表しています。その後、数字の後にV、T、U、A、UL、NSなどのアルファベットのついた銘柄が多数できました。VはVerticalDown(立向下進)を示しており、立向溶接の多い造船所で使用されています。LB-26V,も耳にしたことがあるかと思います。LB-52Vといった銘柄はみなさんTはTackWelding(タック溶接、昔は仮付溶接と呼ばれていました)を示しており、LB-52Tは特に低水素系溶接棒の最大の欠点ともいえる再アーク性に優れタック溶接に最適です。その優れた作業性と低水素系溶接棒ゆえの信頼性により補修溶接などにも広く使用することができます。UはUranami(裏波)溶接から取ったものです。パイプなどの初層溶接で美しい裏波ビードが得られることから裏はつりを省略できます。LB-52Uはパイプラインや海洋構造物、工場配管などの溶接に世界各地で使用されている銘柄です。この銘柄のお蔭で、Uranamiという日本語は世界の溶接現場でも通用するとか。Aは低水素系溶接棒のなかでも、特に水素を低くした銘柄につけられた符号で、LB-52Aは極低水素系溶接棒とも呼ばれています。但し、強度が590MPa級以上の溶接棒(LB-62など)には極低水素系の設計でもAを付けていません。LB-52UL、LB-62ULなどULが付いた銘柄はUltraLowHydrogen=超低水素系と呼ばれ、極低水素系よりも更に水素量を低くしてあります。NSは海洋構造物やLPGタンクなど、-60℃程度までの環境で使用される低温用鋼の溶接材料に付けられています。元々はLB-52NというNiを添加した銘柄があり、この破壊靱性を更に向上させLB-52NSという銘柄が誕生しました。LB-52NSは海上で石油や天然ガスを掘削・生産する海洋構造物(リグやプラットフォームなどと呼ばれます)やLPGタンクの建設にと、世界各国のプロジェクトで幅広く使われています。NSの“N”はNiを添加していること、S”はLB-52Nの“Special”版であることを示しています。(株)神戸製鋼所溶接事業部門営業部営業企画室原田和幸KWAP(KobelcoWeldingAsiaPacicPTE.)製品LB-52LB-52西条工場製品11