新 銘柄のおはなし


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新銘柄のおはなし被覆アーク溶接棒(3)今回は被覆アーク溶接棒の第3弾、低水素系溶接棒についてお話したいと思います。6.LB-XX溶接棒の被覆系統の呼び方は、被覆剤のなかにもっとも多く配合されている原料名を由来とするものが大部分です。例えば、以前紹介したイルミナイト系溶接棒は、イルミナイトという鉱物が主原料として使われています。これを踏襲すれば低水素系溶接棒は、被覆剤として使われている主原料が石灰石ですから「石灰石系溶接棒」と呼んでもいいのかもしれませんが、その特性である拡散性水素量の低さから低水素系溶接棒としています。軟鋼、高張力鋼及び低温鋼用被覆アーク溶接棒(JISZ3211-2008)には16の被覆剤の種類が規格化されていますが、分類の方法として非低水素系溶接棒と低水素系溶接棒に分類される場合もあります。低水素系溶接棒とは、溶接金属の中に含まれる水素量が低くなるように設計された溶接棒です。一般的には低水素系溶接棒でつくられた溶接金属は強くて、ねばくて、割れにくいと言われています。溶接金属の中に含まれる水素は、この「割れ」に最も大きな影響を与え、水素量が少なければ少ないほど割れにくい、と言われています。「“割れやすい品物”“割れが心配な構造物”には必ず低水素系溶接棒を使ってください」とよく言われますが、これは溶接に携わる人の常識ともいえます。重要構造物や厚板の溶接には必ず低水素系溶接棒が使用されています。この低水素系溶接棒にも弱点があり、一つはアークスタート性やビード外観が非低水素系溶接棒に比べ劣るということ。しかし、これは慣れて要領さえ習得すれば問題なく使えるようになります。もう一つにはアークスタート時にブローホールが出やすいこと。これは被覆剤の主成分である石灰の分解温度が他の溶接棒に比べ高く、アークスタート時のシールドガス発生量が不十分なために発生します。ワイヤの溶接でシールドガス流量が少なく気孔欠陥が発生するのと同じ理屈です。対策としては、①後戻りスタート運棒法(溶接開始点の10~20mm前方でアークを発生した後、溶接開始点に後戻りしてアークスタートする)②捨て金法(不要な鋼板上でアークを発生させ、保護筒を形成後いったんアークを切り、保護筒部分が赤熱しているうちに本溶接をスタートさせる。)が代表的な方法です。また、特に低水素系溶接棒は特に使用前の再乾燥の実施とその温度管理が重要となります。神戸製鋼は溶接棒使用前の再乾燥を必須としています。溶接棒は開封前でも被覆剤が吸湿するため、再乾燥して水分と十分に飛ばさないと溶着金属に残った水分が低温割れや気孔欠陥の原因となるためです。再乾燥温度は、非低水素系溶接棒が100℃前後であるのに対し、低水素系溶接棒のそれは300~400℃とする必要があります。なぜこんな高い温度で乾燥させる必要があるかですが、水素との関係で高い温度で焼かないと被覆剤に含まれる水分が十分に除去できないためです。溶接棒がせっかく水素を低くなるように設計してあるのに、それを湿らせて使ったら何の意味もありません。300~400℃の高温で再乾燥し水分を十分に除去して使ってこそ、初めて低水素系溶接棒を使う価値が出てきます。前置きがながくなりましたが、神戸製鋼の軟鋼・高張力鋼用低水素系溶接棒は全て“LB-XX”という銘柄にしており、LBと言えば低水素系溶接棒の代名詞になっています。LBの“L”は「LowHydrogen(低水素)」の頭文字を取ったものであり、“B”はB-17に始まる軟鋼・高張力鋼用溶接棒に付けられた神鋼溶接棒共通の文字です。茨木工場製品西条工場製品10


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