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SR割れ感受性評価試験

溶接部の再加熱において発生する割れのことを再熱割れと呼びます(JIS Z 3001)。特に、溶接後の熱処理(SR: Stress Relieving)中に発生する再熱割れはSR割れと呼称され、析出硬化元素が多いほど割れ感受性が高く、特に低合金耐熱鋼において割れが生じやすいことが知られています。溶接金属のSR割れ感受性の評価手法としては、高温における定歪速度引張試験[1]やC型リング割れ試験[2]がよく用いられます。

高温における定歪速度引張試験は、API RP 934-A Annex B (2019 Edi.)において提案されている試験方法で、2.25Cr-1Mo-V鋼(ASTM A542 Type D Cl.4a鋼など)のサブマージアーク溶接を用いた溶接金属中に発生するSR割れを対象としています。650°Cで引張試験を行った際の破断絞りが低いほど、SR割れ感受性が高いとされています。

図1 C型リング割れ試験の一例



C型リング割れ試験は内木ら[2]によって開発された試験方法です。相対的な比較によってSR割れ感受性の優劣を判断します。図1にC型リング割れ試験の一例を示します。試験片のスリットを閉じるように変形させた状態で、溶加棒を使用せずにスリット部分をティグ溶接することで、U-ノッチ底部に引張残留応力を付与しています。ティグ溶接を行った後に熱処理を施し、任意の断面についてU-ノッチ底部に発生する割れ(図2)[3]を観察します。

当社では開発過程で上記のような試験を実施し、SR割れ感受性が低い耐熱鋼用溶接材料を提供しています。

図2 U-ノッチ底部に観察された割れ



〈参考文献〉

[1] API RP 934-A: 2019. Materials and Fabrication of 2 1/4Cr-1 Mo, 2 1/4Cr-1Mo-1/4V, 3Cr-1Mo, and 3Cr-1Mo-1/4V Steel Heavy Wall Pressure Vessels for High-temperature, High-pressure Hydrogen Service

[2] 内木虎蔵, 岡林久喜, 粂亮一. 応力除去焼鈍割れに関する研究 (第2報) ―割れ発生, 発達過程の観察― . 溶接学会誌. 1964, 33, 9, p.718-725.

[3] 村西良昌. 耐熱鋼用フラックス入りワイヤのご紹介. ぼうだより. 2019, 501, p.7-11.

(株)神戸製鋼所 溶接事業部門
技術センター 溶接開発部 
小山田 宏美


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