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旭イノベックス株式会社 石狩工場


『人財』を育み、確かな技術力で『革新』を起こす
ー 旭イノベックス株式会社 石狩工場

北海道石狩市は、札幌市の北側に隣接し、江戸時代初期から交通の要所として重要な役割を果たし、西蝦夷地の鮭の交易で大いに賑わいました。市名の由来は市内を流れる石狩川からきており、先住民のアイヌ民族の言葉で石狩川を指す「イシカラペツ」に由来しています。その意味は「曲がりくねって流れる川」また「神様がつくった美しい川」と言われています。

今回は、その石狩に鉄骨工場を構える、旭イノベックス株式会社石狩工場を訪問し、萬副工場長、山口部長代理にお話を伺いました。

工場全景
工場全景

本日はお忙しい中、お時間をいただきましてありがとうございます。また日頃より弊社の溶接材料および溶接システムをご愛顧いただき誠にありがとうございます。早速ですが、まず御社の概要についてお聞かせください。

取材に先立ちまして、昨年御社、福知山工場を見学させていただき感謝申し上げるとともに、ご多忙な時期にも関わらず、迫工場長様はじめ工場管理者の皆様には、丁寧な説明をしていただきました。日々使用する溶接材料の品質管理、線材に懸ける思い、技術力を拝見させていただき、改めて御礼申し上げます。

さて当社は、昭和27年5月に札幌市で旭鉄工所として創業しました。当時は水門の設計・製造・施工が主でした。その後暖房機関連、橋梁分野へと事業を拡大し、昭和49年に、鉄骨の加工・組立業務をスタートさせました。昭和60年にはグループの建築鉄骨分野を担う旭製作所を設立しました。まさに、この石狩工場の前身です。その後、事業ごとに分かれていたグループ3社(旭鉄工所、旭製作所、旭イノベックス)を統合し、平成19年に『旭イノベックス株式会社』が誕生しました。

会社名のイノベックス=INOVEXとは、Innovation(革新)を繰り返し、Excellent(優れた)なものづくりと会社経営によって社会に貢献し続けるという強い意思が込められています。

工場内
工場内
事務所棟
事務所棟

日々の改善・革新を重んじる印象を、私も常々感じております。では、御社の強みを教えてください。

強みは、人です。当社では、『人財(じんざい)』と書きます。製品は、多くの人が関わり、人の手によって生み出されます。すなわち「製品を生み出す担い手=人」を育むことが、会社経営の根底にあります。

中でもキーテクノロジーの溶接は、技能継承と若手社員の定着という2つの課題があります。当社では、熟練社員と若手社員がマンツーマンで目標と計画を立て、資格取得や技量向上を目指す仕組みがあり、会社もそれを支援しています。

つい先日は、新入社員に幅広くものづくりに関心を持って欲しいという考えから、コベルコROBOTiX(株)第二事業部に依頼し、「石松」の操作指導勉強会を実施しました。さまざまな選択肢を与え、若手が自分で考え、モチベーションを高められる環境を、もっと作っていきたいです。

さまざまな選択肢の中で、個々が自分で考え、行動する力が育まれるのですね。では、神鋼の溶接材料は、どのような場面でご使用いただいてますでしょうか。

建築鉄構事業部方針として、複雑な形状の製品に果敢に挑戦しています。例えば、写真のような四股のパイプ柱が出てきた時には、等身大の模型を作り、考えられる問題点を洗い出しました。模型を作って、初めて溶接姿勢が制限されることがわかります。こういった付加価値の高い製品を作る中で、御社の製品は不可欠です。溶接部位を考慮し、適切なトーチ姿勢での作業可否を把握し、後処理のない『魅せる溶接』で[F]MX-Z200MP、[F]DW-100Vを使用しています。

またNew [F]MG-56は、従来ワイヤと比べソフトなアーク感で、半自動の溶接技能者が高く評価しています。加えてアークの安定性も良く、「石松」にも搭載し使用しています。

複雑な形状の柱(模型)
複雑な形状の柱(模型)
実物溶接時
実物溶接時

ご評価いただき誠にありがとうございます。一方で、昨年7月に道内初となりましたREGARC™搭載天吊柱大組溶接ロボットシステムのお話を伺いたいのですが、ご採用いただいた経緯をお聞かせください。

当社では「天吊特殊マルチ」という名で呼んでいます。柱溶接や仕口溶接の現機能はもとより、中間溶接のスペースに配置することで、前工程の流れから連続して溶接できる部位を増やし、多様な使い方を期待して採用を決めました。今後は、溶接技能者とロボットの融合で、さらなる時間短縮、作業の効率化を実践していきたいと考えています。

REGARC™搭載天吊柱大組溶接ロボットシステム
REGARC™搭載天吊柱大組溶接
ロボットシステム
REGARC™搭載柱大組20tシングル
REGARC™搭載柱大組20tシングル

現在はコア増産用としてすでに使いこなされているようで、大変嬉しく思っています。それでは、弊社に対するご要望をお聞かせください。

1つ目が、30°狭開先ソフトのREGARC™対応と、型式認証の取得です。2つ目が、建築鉄骨向けCADとの連携による教示時間の短縮・簡略化です。

時短と単位時間あたりの生産性向上は業界全体の発展につながることから、ぜひとも、開発を進めていただきますようお願いします。

3つ目は溶接材料の安定供給、4つ目が、新たな溶接材料の開発です。溶接材料を評価することも、溶接技能者の技量向上につながりますので、ぜひ、これからもいろいろと提案をお願いします。

柱大組15トン2アーク
柱大組15トン2アーク


貴重なご意見ありがとうございます。建築鉄骨業界は、神鋼として重要と考える業界の1つです。作業負荷低減や、生産性向上につながる新製品開発は、引き続き尽力してまいります。それでは最後に、御社の今後の取り組み、抱負について教えてください。

これまで、札幌ドームや北海道新幹線 新函館北斗駅など地域のランドマークとなる案件を数多く施工してまいりました。その中で、自社の技術力を高めながら、お客様や仕入れ先との絆を深めてきました。当社としては、引き続き人財を育て、高い技術力でもって、業界の発展、地域や社会に貢献していければと考えております。


力強いお言葉をありがとうございます。

ご多忙の中、取材に協力いただきました萬副工場長、山口部長代理には、心より感謝申し上げます。

今回の取材を通じて、会社全体で人を育て、高みを目指そうとする社風を改めて強く感じました。取材中、「自分の子どもを入れたいと思える業界にしたい」というお話がありました。現状の業界の厳しさ、大変さを感じる一方で、業界に革新を起こし、トップランナーとして、変化を恐れず挑戦していこうとする決意のようにも感じとることができました。

最後になりますが、旭イノベックス株式会社の皆様の今後益々のご活躍をお祈り申し上げます。


萬副工場長
よろず副工場長
山口部長代理
山口部長代理
工場全景+ヤード
工場全景+ヤード


※文中の商標を下記のように短縮表記しております。
FAMILIARC™→[F]

レポーター:鏡味 芳徳
(株)神戸製鋼所 溶接事業部門 マーケティングセンター
国内営業部 東日本営業室 北海道営業所


2018年9月北海道胆振東部地震により被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。
被災地の一日も早い復興をお祈り申し上げます。


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