一般に「メンテナンス」という言葉が広く使用されていますが、意外と抽象的に使用されている事が多く、広い範囲で解釈されています。
日本語としては、「建築・土木構造物や自動車など機械類の整備・維持・保守・点検・手入れ」等の意味で使われており、その意味合いは、下記5項目へと細分化されます。
・「整備」とは、すぐに役立てるようにしておく事
・「維持」とは、物事の状態を保ちつづける事
・「点検」とは、悪い箇所や異常がないかをひとつひとつ確認する事
・「手入れ」とは、よい状態を保つために整備・補修などをする事
ロボットシステムのメンテナンスとしては、【図1】のように「点検」→「整備・手入れ」→「維持・保守」のサイクルを廻して、健全な状態を維持する事を意味します。
これまでのロボットシステムの点検部分は、メーカー保有の専用機器や専用測定器がないとできない部分が多くありましたが、最近はお客様で簡単に確認できるよう開発されてきています。
一例として、溶接ワイヤ送給量の確認についてご紹介します。
これまで、溶接ワイヤ送給不良が発生した場合、溶接ワイヤを高速でインチングさせ、手のひらに押し当てて勢いよく押し返し送給出来るかどうかを目安として、人が感覚的に確認・判断していました。
溶接ワイヤが押し返さなければ、溶接ワイヤ送給経路部品の劣化の可能性が高いため、溶接ワイヤ送給経路の手入れを行い、正常な状態へ維持させる事となります。
神戸製鋼所製ロボットコントローラと溶接電源SENSARC™ AB500の組合せでは、ワイヤ送給速度と送給時間を設定し、送給量を指定したインチング操作ができます。さらに送給モータの負荷値をリアルタイムに確認する事が可能となりました。【図2】
この機能により、設定送給量と実溶接ワイヤの送給量の比較や、送給負荷値を確認する事での数値的な管理が可能となり、溶接施工監理へ更に寄与できることとなりました。
今後もメンテナンスの観点から、サービス部隊と開発部隊と連携を密にし、お客様で簡単に確認できるようなロボットへと進化していけるように努めてまいります。