営業部ニュース-2

溶接ご法度集-5 溶接施工/施工管理編(3)


溶接施工に関わる「ご法度」の第3弾です。

※本文中の溶接110番・119番および用語解説バックナンバーは、以下URLよりお入りください。
ぼうだより・技術がいどライブラリー http://www.boudayori-gijutsugaido.com/library/

ご法度(19)
溶接金属の重量と同じ重量の溶接材料だけを準備するのはご法度!

(参考)
溶接材料所要量(g/cm)=溶接断面積(㎠)×比重(鋼=7.85)÷溶着効率×100
(さらに詳しい情報は)
技術がいどバックナンバー 溶接110番・溶接レスキュー119番 P25「溶材使用量の算出」

溶接材料の必要量・コスト計算をする場合、溶接金属と溶接材料の重量を求める必要があります。溶接金属の重量は、体積に鋼の比重=7.8を掛けると求められます。

例えば、求めた溶接金属の重量が100kgとします。この溶着金属量を溶着効率(溶接材料の何%が溶接金属となるか)で割りかえすと必要な溶接材料が算出できます。溶接材料毎の溶着効率は右表をご参照ください。溶着金属とならない分は、スラグ・スパッタなどとなります。

被覆棒は約180kg(100kg÷0.55)、ソリッドワイヤで約105kg(100kg÷0.95)が必要となります。

ご法度(20)
少しくらい割れがあっても大丈夫、はご法度!

(割れに関しての詳細)
技術がいどバックナンバー 用語解説 P42「遅れ割れ」P81「高温割れ」中高炭素鋼、炭素鋼とステンレス鋼の異材溶接における割れなどの解説があります。

「割れ」はもっとも恐ろしい欠陥です。割れの先鋭部は極めて鋭く、応力が集中しやすい状態にあり、そこを起点として構造物が破壊することがあるからです。溶接部に割れが見つかったら、その部分は完全に除去し補修することが必要です。

補修にあたっては、割れの原因についても明らかにし、その対策をたてることが重要です。

ご法度(21)
0.2%耐力を軽視するのはご法度!

*技術がいどバックナンバー 用語解説 P86「降伏点と0.2%耐力」

引張試験機で試験片にゆっくり荷重を加えていくと、右図のような曲線となります。このY点を「降伏点」と呼びます。また、鋼種によってはY点が明確に出ないものがあります。この場合、0.2% 伸びとの交点(Y1点)を「0.2%耐力」と呼び、降伏点と同様に扱います。降伏点以下の荷重であれば、荷重を外すと元の試験片の形状に戻ります(弾性変形)。一方、降伏点を超える荷重では、荷重を外しても元に戻りません(塑性変形)。

このように降伏点(0.2%耐力)は引張強さと共に重要な性能の一つです。

そのため、構造物の設計は、引張強さよりも降伏点(0.2%耐力)を用いることが多いようです。

ご法度(22)
強さだけを考えて溶接材料を選定するのはご法度!

溶接材料の選定条件は、まず溶接金属の強度が母材以上あることです。例えばSM400(JIS G3160)という鋼材の引張強度は400MPa以上なので、溶接材料の強度も400MPa以上なければなりません。

しかし、溶接継手ではもう一つ「ねばさ=衝撃性能/吸収エネルギー」という大事な性能があります。鋼は温度が低くなると、「ねばさ」がなくなります。(昔のCMで、ばらの花を凍らせるとちょっとの力で粉々になる、というものがありました。)寒冷地向けの構造物や低温環境下で使用する機器などは、低温でも大丈夫な材料を使わなければなりません。

(衝撃試験などくわしくはこちら)
技術がいどバックナンバー 溶接110番・溶接レスキュー119番 P95「低水素棒の衝撃性能について」 P84「低温用鋼の溶接について」

ご法度(23)
厚板を開先なしで溶接するのはご法度!

突合せ溶接には、「完全溶込み」と「部分溶込み」があります。板厚すべてを完全に溶接するものと、板厚の一部のみを溶接するものです。基本は完全溶込み溶接です。

完全溶込みを得るには、開先を取らないI形開先では難しく、V形開先やX開先のような開先を取る継手とする必要があります。開先が必要な最低板厚は溶接法によって異なりますが、4~5mmくらいと考えられます。

ご法度(24)
厚板の短い溶接線を連続で溶接するのはご法度!

溶接線が比較的短い溶接を連続で行うと、継手部全体の温度が極端に上昇します。その結果、冷却速度が遅くなり、溶接金属が所定の強度を得られない場合があります。

この現象は、鉄骨の溶接などで時々見られる問題です。対策としては、パス間温度管理の徹底や、強度の高い溶接材料の適用などがあります。

*技術がいどバックナンバー 用語解説 P207「パス間温度」、溶接110番・溶接レスキュー119番 P55「鉄骨の柱梁仕口溶接の入熱およびパス間温度について」参照

ご法度(25)
予熱、パス間温度の確認をカンにたよるのはご法度!

溶接において、予熱やパス間温度などの熱管理は、溶接金属の性能に大きく影響するため非常に重要です。影響される性質としては、「強さ(引張強度・降伏点)」「ねばさ(吸収エネルギー)」、耐割れ性、溶込み、アンダカットなどです。

一般に温度測定には温度チョークや表面温度計が良く使われています。開先近辺を正しく測定しましょう。

*技術がいどバックナンバー 溶接110番・溶接レスキュー119番 P55「鉄骨の柱梁仕口溶接の入熱およびパス間温度について」参照

(株)神戸製鋼所 溶接事業部門 マーケティングセンター
マーケティング企画室 原田 和幸

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