ぼうだより2014年11月号


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し柄の銘おはな新前回まではB-XX、TB-XX、Z-XX、LB-XXなど神戸製鋼の代表的な被覆アーク溶接棒の銘柄名の由来を説明してきました。今回は低水素系溶接棒の弟分であるLB-MXX、LT-BXXに加え、少し趣向を変え、耐候性鋼、耐海水鋼、耐硫酸腐食鋼など特殊な鋼材に使用される被覆アーク溶接棒などの由来を紹介いたします。7.LB-MXX神戸製鋼がはやくから溶接ヒュームの研究を進めてきたことはZERODE(ゼロード)の項で説明しました。溶接から発生するヒュームは人体に有害で、その影響を少しでも軽減しようという研究を重点課題として進めてきました。その結果、低水素系溶接棒は非低水素系溶接棒に比較してその影響が大きいことが分かってきました。低水素系溶接棒から発生するヒュームを大量に吸引すると、体調によっては頭痛などの金属熱症状を起こす場合があり、それは低水素系溶接棒のヒューム粒子が非低水素系溶接棒のヒュームに比較して小さく、肺胞まで到達しやすいことが原因の一つであることが分かってきました。LB-M系溶接棒は低水素系溶接棒の中でも、溶接ヒュームが人体に与える影響を極力少なくした溶接棒です。連鎖状に集合したヒューム形態が特徴で、このようなヒュームは肺胞まで達することなく鼻毛や気管のせん毛で止まると考えられます。またLB-M系の溶接ヒュームはその組成的にも影響が少なくなるよう考慮されています。LB-M系溶接棒は赤カタログではクリーンロードと書かれています。LB-MのMは「無害(MUGAI)」から取ったものですが、無論、「無害」とは言えず溶接ヒュームを吸わないことが重要です。粉じん障害防止規則で溶接・溶断作業は粉じん作業と定義されており、工場等の屋内において作業を行う際には、全体強制換気の実施と防塵マスクの着用が義務付けられています。なお、LB-M52は昭和39年に開発されました。8.LT-BXX低水素系溶接棒は強くて、ねばくて、割れにくい、といった特長を持っている反面、作業性とくにビード形状が凸になりやすいという欠点を持っています。溶接姿勢でいいますと、水平すみ肉溶接で顕著にその傾向が見られます。とはいえ水素の多い溶接棒は耐割れ性を考えると低合金鋼、高張力鋼などの溶接では使うわけにもいかず困っていました。特に造船に高張力鋼が使われるようになると、ますます水平すみ肉溶接で水素量が低く、かつビード形状の良い溶接棒の要求が多くなってきました。その答えが昭和40年に開発されたLT-B52という銘柄です。ビード外観を含めた作業性はチタニア系溶接棒のようで、水素量は低水素系溶接棒並みというのがこの溶接棒の正体です。LBとTBを足した銘柄として、LT-Bという銘柄となりました。その後多くの銘柄が誕生しましたが、現在ではLT-B52AとLT-B50の2銘柄があります。LT-B50はJISZ3211E4924に分類され、非低水素系溶接棒です。これは鋼材がTMCPといった加速冷却圧延技術の進歩により鋼板の耐割れ性能が飛躍的に向上し、490MPA級高張力鋼でも非低水素系溶接棒の使用が可能になったためです。9.LB-WXX、TB-WXX(耐候性鋼用)金属素材としての鉄鋼の優れた特長の一つは、他の金属、例えば銅やアルミニウム等にない高強度・高靱性が同時に得られ、しかも比較的安価であることです。しかし長期間放置されると酸化・腐食され、金属としての形を留めぬまでにその状態が変化します。古い遺跡などから発掘される中に鉄器が少ないのも原因の一つはここにあります。この短所を補う方法の一つとして開発されたのが、高価な金属・合金元素を大量に使用しないで大気中での錆の進行を抑える耐候性鋼です。耐候性鋼はそれぞれ1%以下の銅、クロム、ニッケル、あるいは通常は不純物として厄介者扱いされるリンなどが複合添加されており、ステンレス鋼ほどではないものの一般鋼にくらべ耐食・耐酸化性にすぐれた特性を有しています。わが国では昭和34年、米国USSTEELのCORTEN鋼が技術導入されたのを機に東海道新幹線の車両に大量使用されました。そのため当初は溶接材料も国鉄規格に基づいて製造され、当社溶接材料、TB-W52、LB-W52も規格分類に該当するものとして開発されました。銘柄名のWは「WEATHERPROOFSTEEL(耐食性鋼)」の頭文字に由来しており、TB、LBはこれまで紹介した通りそれぞれの被覆系を示しています。耐候性鋼には、使用に際して表面にペイント塗装を施すものと塗装をせずそのまま使用するもの(裸仕様)があります。LB-W52Bの末尾のBは「BEARUSE(裸仕様用)」の頭文字Bに由来します。裸仕様は耐候性能ではペイント仕様より優れており、ペイント仕様用としても適用可能です。被覆アーク溶接棒以外の品種被覆アーク溶接棒(4)8


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